2010年11月26日金曜日

アメリカの研究室でのポスドクポジションの獲得方法(有機化学系) 補足

説明が少し足りませんでした。

前にもこのブログで紹介しましたが、
ポスドクには2種類の採用形態があって、、

インタビューを経て採用される人と、
インタビューなしで採用される人(書類選考)と

があります。

インタビューがあるのはアメリカ大陸在住の人がほとんどで、
日本からの応募者がわざわざやってきてインタビューを受けるというのは
今のところ聞いていません。

そういったアメリカ外在住の人はおそらく書類選考になるのだと思います。
そして、もちろん優秀な経歴を持っていることも大事ですが、
お金を持ってくるということも大事なのです。
というか、地理的にインタビューが難しいこともあって、
お金を持ってこれるということから、彼はそれなりに優秀でしょうと判断する、
ということではないかと思います。

2010年11月23日火曜日

アメリカの研究室でのポスドクポジションの獲得方法(有機化学系)

インターネットでいろいろみていると、
アメリカでポスドクポジションを取りたいのだがどうしたらいいのだろうかという方が
いらっしゃるようです。
なので、その方法について私の観察結果を書いてみようと思います。

前にも書きましたが、有名研究室でのポスドクポジション獲得は容易ではありません。
ものすごい倍率です。

基本的にアメリカ大陸在住で応募してくる人は、インタビューを通過しなければなりません。
研究室にもよると思いますが、うちでは研究室のメンバーと教授の前で40分くらいプレゼンをして
質疑応答をします。プレゼンはたいてい午前中で、午後は研究室を見学し、
ひとりひとりと話をしてまわるのが一般的です。

さて、本題。
どうすればポスドクとして採用されるか。
それは、お金を持っていくことです。
日本で財団とかの奨学金とかを確保して、
「給料は奨学金で賄えるので要りません」といって、応募するのがいいと思います。
教授にしてみたら、ドクターを持っている労働力が無償で手に入るわけです。
こんないい話はありません。
試薬とか溶媒とかガラス器具とかは必要ですが、
それでも人件費タダは魅力なのだと思います。
ちなみに、ほかではどうかわかりませんが、MITではポスドクの給与の最低金額が決まっています。
なので、その金額以上であることも大事です。

あとは、タイミングも大事です。
たいていの研究室では1年先まで次のポスドクのやってくる予定がほとんど決まっています。
なので、たとえお金を持ってきても、空きがなければ入れません。
そのあたりは、さすがに運だと思います。
どうしてもこの研究室がいい、というのであれば、
早めに応募してポジションを確保されるのがよいと思います。

補足参照

というのが私の観察の結果です。
ただ、もしかしたら他の研究室では違うのかもしれません。
また、たとえば生物系になるとまた違うのかもしれません。
あくまでも、有機化学系のある研究室ということでご理解ください。

2010年11月21日日曜日

英語が通じない理由

今の研究室のボスは、とても丁寧な英語を話されます。
やはり、教授ともなるとそのあたりは気を使われているのではないかと思います。
しかも、偉そうなことも全くおっしゃりません。
なので、彼の英語はとても参考になります。
みんなはこういうけど、先生はこういう、みたいに比較ができるし、
先生の使う英語を使っておけば、おそらくたとえばビジネスの場面でも失礼な表現になることはないものと思われます。

ただ、ひとつ困ることは、イディオムを多用されることです。
ネイティブスピーカーですら知らないようなイディオムを使うこともあるので、
ネイティブスピーカーではない私にはちんぷんかんぷんです。

たとえば、"an elephant in the room"
どういった場面でおっしゃったかは忘れましたが、
これは、みんな気付いているのに誰も口にしない、という意味です。
想像してみてください。
部屋の中に象がいれば全員気づくはずです。でも誰もそれについて口にしない。
そういう状況のことを表わすそうです。

で、もっと困るのが、そういったイディオムを使われたときに
よくわからないので、聞き返すわけです。
そうすると、そのイディオムを
A N   E L E P H A N T   I N   T H E   R O O M
とゆっくりとおっしゃってくださるのです。
私が分からないのは、何と言ったかはなくて、そのイディオムの意味なのです。

もちろん先生に文句を言っているわけではなく、お互いの分からないところが分かりあっていないと、
これまた会話が成立しないわけです。

ということで何が言いたかったかというと、
英語が通じない理由は単語を聞きとれないから、だけでなく、
使っている表現が分かりにくいということもあるのです。

まあ、当たり前のことですが、改めてそう思った次第です。

Dim Sum

ボストン(というかMIT)には大勢の中国人がいます。
ポスドクだったり、大学院生だったり。
で、もちろんボストンには中華街があります。

シカゴからやってきた友人の話によると、シカゴにももちろんチャイナタウンがあって、
アメリカの主要都市にはたいていチャイナタウンがあるそうです。
やっぱり、人数が多いから、だとおもいます。
ボストンでは日本人は少数派なので、日本人用スーパーマーケットやレストランはあっても、
日本人街はありません。
先日ロサンゼルスに旅行に行ったときに立ち寄ったリトル東京
アメリカでも特に日本人が多いところに行かないと、
こういうのはないようです。

それでも、アメリカのレストランよりも比較的なじみのある中華料理が食べられると、とても助かります。
なんか、サンドイッチとか、ハンバーガーって、飽きちゃうんですよね。ボク。

先日、日曜の昼にチャイナタウンに行ってきました。
目的は、Dim Sumです。
Dim Sumは飲茶のことです。
たいてい広い大食堂みたいなところに通されて着席します。
すると食べ物が載ったワゴンを押しながらおばちゃんがやってきて、何がほしいか聞いてきます。
で、あれとか、これとか言ってほしいものをとります。
その時におばちゃんが会計のためにしるしをつけていきます。
好きなだけ食べたらお会計。
これがものすごく安い。
今回は4人でおなかいっぱい食べて税込$35。
やすい。
物価の高いボストンでは考えられないくらい安い。
一般にチップは1ドルを置いていけばいいらしいので、それでも一人10$です。

しかも、あまりまずい、という店は聞いたことがありません。
きっと競争が激しいからだと思います。

ちなみに、友達に中国人がいたら、ぜひ一緒に行くことをお勧めします。
店員のおばちゃんとかお兄ちゃんは基本中国人で、
どうも皆さんそれほど英語が得意ではなさそうなのです。
なので、「こういうのが食べたい」とか、「これなに?」とか質問するのに、
中国語がしゃべれる同伴者がいたほうが便利なのです。
また、彼らはものすごい勢いでまくしたててきます。
日本人は押しに弱い(とおもう)ので、それをせき止める何かがあったほうが
安心して食事に専念できます。

ポスドクの就職活動3

今週も忙しかった。
ようやく週末なので更新です。

Ph.Dをとったあとの大学院生はどうするのか。
今回はあくまでも化学系(とくに有機化学)の場合です。
というのは、学問が違うと、事情が違っているようなのです。
たとえばバイオ系ではPh.Dをとるのに化学系よりも1-2年多くかかることが多いらしく
(実験の待ち時間が長かったりすることに由来する。らしい。聞いた話)
その場合はポスドクなしで助手になったり、就職したりするそうです。

で、化学系ではPh.Dを取った後、違う大学で2年間のポスドクをしてから就職するのが一般的です。
日本ではポスドクは昔よりは増えているようですが、あまり一般的ではありません。
たいてい博士号を取ったらすぐに就職していきます。

しかも、前に書いたように、ポスドク君は、基本的に居心地が悪いのです。
先の保障もなければ給料は安い。
自分の独立した研究ではないので、基本は教授の方針に従って他人の研究をすることになる。
そこで結果を出さないと肩身の狭い思いをするし、かといって就職活動もしなければいけないし、
できれば面接を受けて奨学金とかをもらったりもしたいわけです。

なのに、みんなポスドクをする。
なので、聞いてみた。
「ポスドクしないで就職したらいいのに」

すると、彼らの言い分は
「ポスドクはrequirementだから仕方ないんだよね」だそうです。
CVにその経験があるかないかで、その先が違うと皆さんは考えておられるようです。
たとえばカナダからきたポスドクがいうには、
「やっぱりMITでポスドクをした」とう経験がある人とない人を(もしくはポスドクをしたけどそれほど有名でないところだったりする)比較した場合、採用される可能性が全然違うそうです。
なので、有名大学の有名教授の先生のところでポスドクをすることが非常に重要なわけです。
そしてあわよくば論文も出しちゃったりできると、なお良し。
あ、それから、大学院の生活はとても忙しく、就職活動をする時間がない、とも言っていました。

うちの研究室から卒業した2人の大学院生。
一人はスタンフォードでポスドク。
もう一人は少し変わっていて、私立高校の先生になるということで就職。でした。
その前の年の大学院生2人は、2人ともポスドクをしていて、アメリカのほかの大学で働いているようです。

ポスドク期間は決まっていません。
その時の契約にもよりますが、1年から3年程度が一般的です。
そして、その間に職を得て、晴れて自由の身?になるのです。

ちなみに、セカンドポスドク、サードポスドクといって、ポスドクを繰り返して
研究室を渡り歩いて行く人もいます。
たいていは助手とかの希望のアカデミックポジションがなかったために、
ひとまず他でポスドクをして、という風になるようです。
でも、一般的に2ヵ所、3か所でポスドクをする人には、たいてい何か問題がある、
と皆さん思われているようです。
もちろん、「もっと勉強したい」と言ってポスドクを続けている人もいるのだとは思いますが、
基本的には「浪人」みたいな思われてる感じです。
ちなみにポスドクポジションは(超有名研究室でないかぎり)比較的簡単に得られるようです。

ただ、有名研究室では話は別です。
うちの研究室の教授のところには年間500通のポスドク申し込みがメールでやってくるそうで、
そのうち面接に来ているのは年間12人とか、それ以下のような気がします。
つまり40倍の倍率。
いいポジションをとるというのは、就職活動くらい大変なのです。

話がそれた。

そういうわけで、ポスドクの間での話題はよく就職活動の話になるのです。
「キミは職があっていいよな」、とみんな言いますが、
まあ、隣の芝生は青く見えるというやつではないかと思います。
立場が違うと、いろいろ違った問題があったりするのだよ。と思いつつ、
そんなことをクドクドといったりすると「何だこのオッサンは」と思われそうなので、
知らん顔をするようにしています。

こないだあるポスドクに試しにクドクドと言ってみた。
すると、こういうことを英語で説明するというのがとても難しいということに
話し始めてから気がついた。

・・・しまった。

ということで
(もちろんみんなではありませんが)
ポスドク君はわが身の不幸を嘆きながら、
日々仕方なく実験をしつつ、就職活動をするのです。

2010年11月13日土曜日

ポスドクの就職活動2

最近忙しくて更新が滞っていました。

さて、就職活動の続きです。

ポスドクを終えた人がみんなアカデミックに就職するわけではありません。
そもそもアカデミックにはそんなに枠がありません。

どれくらいの比かは正確には分かりませんが、半分くらいは企業に就職するようです。
さすがMITだけあって、皆さん超大手企業を希望されています。
製薬会社ならノバルティス、メルク、ファイザー、アボット。
化学会社ならダウ、BASF、シェブロン、BAYER、などなど。

すごいなー。

もちろん簡単には採用してもらえません。
ある人の父親がノバルティスで働いていて、彼によると、
Chemistは年間10人しかとらないのに、応募は5000人あるそうです。

。。。

これは、相当できる人でもおとされる可能性大です。
もちろん今が不景気だからというのも関係しているとは思いますが、知らなかった。

ちなみに隣の研究室のポスドク氏が最近ボストンのノバルティスに就職しました。
かれ、相当すごいんだなーと今になって思いました。

さて、ポスドク君一般の話です。
彼らは1回のインタビューでオファーを受けることはめったにないようです。
やっぱり何社も受けて、ようやく内定をもらうようです。
なので、アメリカ在住、アメリカ人でアメリカで就職しようとする場合は比較的
自由に多くの会社を受けることができますが、
たとえばヨーロッパからポスドクをしに来ている人なんかは大変です。
アメリカで就職するならグリーンカードを取らなければ難しいし、
ヨーロッパで就職するならインタビューの度に帰らなければいけません。
もちろん、ポスドク君なので、普段実験をして、成果も出さなければ居心地が悪かったりするのです。
そもそもポスドク期間中に有名研究室で論文を出して、
箔をつけようという意図があったのに、就職活動に精を出して
そのために本業がおろそかになっていては本末転倒のような気がします。

それでも、やっぱり大変そうです。
自分が就職したときは就職氷河期(入社は2002年4月、内定をもらったのが確か2001年の4月くらい?)
だったのですが、それでもそこまで大変だったような気はしません。

ちなみに、彼らは「内定をもらった」とは言いません。
「オファーを受けた」と言います。
そして、「オファーを受諾する」みたいに言います。
あくまでも、対等か、むしろこっちが立場が上、みたいな感じに聞こえます。
これも考え方の違いなのでしょうか。

就職活動は、こんな感じですかね。

そういえば大学院生がPh.Dをとった後どうするかについて
書いていないような気がします。
では次回はそれについてかくことにします。

2010年11月7日日曜日

ポスドクの就職活動1

海外で有機化学系の研究をしている人は、大学のドクターコース(4卒の後に5年のプログラムがある。日本で言う修士2年+博士3年みたいな感じ)を終えたあと、普通は2年くらいポスドクとして研究を続け、その傍ら就職活動をして行き先を決めます。

とくにアメリカ以外でドクターを取ったひとで、学校の教授になりたいような人はアメリカでポスドクをして人脈とか、知識とかを身につけてまた母国に帰るわけです。
また、ドクターをとった大学から外に出て研究をするということで、
外の世界を知る、という意味でも他の大学、国でポスドクをするのが理想的のようです。

ポスドクの身分は心地いいものではありません。
給料も安いし(アメリカでも年間40000ドル程度)、先の保障もない。
一刻も就職先を決めて、大手をふって出ていきたいわけです。

ドクターまで行くのならやっぱりアカデミックポジションを狙っているのかというとそうでもありません。
基本は興味があるみたいですが、なかなかいいポジションは簡単には取れないようです。

あるポスドクが言っていましたが、
「有名大学でアカデミックポジションをとるのなら、有名大学でドクターを取っておかないとだめだ」そうです。
たとえば、MITで助手になりたいとおもったら、少なくとも同等以上の大学、たとえばハーバード、スタンフォード、
シカゴ、カリフォルニア工科大学、コロンビア、スクリプス研究所などを出ておかないと、なかなか難しいそうです。

どこまでほんとかは分かりませんが、
たしかに現在の有名大学の教授の経歴を見ていると、
立派な大学でドクターを取られていることが多いようです。

ともあれ、みんなせっせとアカデミックポジションに応募し、
面接のチャンスをもらえれば大学に出向いてプレゼントか面接とかをして

ちなみに、(当然かも知れませんが)このときにproposalといって、
今後ポジションを得ることができたらこんな研究をしてみたいということを
まとめた文書を作って、それを説明するわけです。
この辺りが、会社の就職とはちょっと違います。

今回はひとまずここまで。
次回は会社への就職活動についてです。

2010年11月1日月曜日

学校であまり習わなかった便利な英語表現 その6

久々の英語の時間です。

I can't make it.

今日のパーティーに来れるかという質問に対する答えがこれ。
「つくれません」ではありません。
「これない」という意味です。
文脈から分からなくはありませんが、
私の記憶の限り、学校で習った覚えはありません。
でもみんなよく使っています。

使うことに慣れれば、おそらく便利な表現だと思います。