2010年11月21日日曜日

ポスドクの就職活動3

今週も忙しかった。
ようやく週末なので更新です。

Ph.Dをとったあとの大学院生はどうするのか。
今回はあくまでも化学系(とくに有機化学)の場合です。
というのは、学問が違うと、事情が違っているようなのです。
たとえばバイオ系ではPh.Dをとるのに化学系よりも1-2年多くかかることが多いらしく
(実験の待ち時間が長かったりすることに由来する。らしい。聞いた話)
その場合はポスドクなしで助手になったり、就職したりするそうです。

で、化学系ではPh.Dを取った後、違う大学で2年間のポスドクをしてから就職するのが一般的です。
日本ではポスドクは昔よりは増えているようですが、あまり一般的ではありません。
たいてい博士号を取ったらすぐに就職していきます。

しかも、前に書いたように、ポスドク君は、基本的に居心地が悪いのです。
先の保障もなければ給料は安い。
自分の独立した研究ではないので、基本は教授の方針に従って他人の研究をすることになる。
そこで結果を出さないと肩身の狭い思いをするし、かといって就職活動もしなければいけないし、
できれば面接を受けて奨学金とかをもらったりもしたいわけです。

なのに、みんなポスドクをする。
なので、聞いてみた。
「ポスドクしないで就職したらいいのに」

すると、彼らの言い分は
「ポスドクはrequirementだから仕方ないんだよね」だそうです。
CVにその経験があるかないかで、その先が違うと皆さんは考えておられるようです。
たとえばカナダからきたポスドクがいうには、
「やっぱりMITでポスドクをした」とう経験がある人とない人を(もしくはポスドクをしたけどそれほど有名でないところだったりする)比較した場合、採用される可能性が全然違うそうです。
なので、有名大学の有名教授の先生のところでポスドクをすることが非常に重要なわけです。
そしてあわよくば論文も出しちゃったりできると、なお良し。
あ、それから、大学院の生活はとても忙しく、就職活動をする時間がない、とも言っていました。

うちの研究室から卒業した2人の大学院生。
一人はスタンフォードでポスドク。
もう一人は少し変わっていて、私立高校の先生になるということで就職。でした。
その前の年の大学院生2人は、2人ともポスドクをしていて、アメリカのほかの大学で働いているようです。

ポスドク期間は決まっていません。
その時の契約にもよりますが、1年から3年程度が一般的です。
そして、その間に職を得て、晴れて自由の身?になるのです。

ちなみに、セカンドポスドク、サードポスドクといって、ポスドクを繰り返して
研究室を渡り歩いて行く人もいます。
たいていは助手とかの希望のアカデミックポジションがなかったために、
ひとまず他でポスドクをして、という風になるようです。
でも、一般的に2ヵ所、3か所でポスドクをする人には、たいてい何か問題がある、
と皆さん思われているようです。
もちろん、「もっと勉強したい」と言ってポスドクを続けている人もいるのだとは思いますが、
基本的には「浪人」みたいな思われてる感じです。
ちなみにポスドクポジションは(超有名研究室でないかぎり)比較的簡単に得られるようです。

ただ、有名研究室では話は別です。
うちの研究室の教授のところには年間500通のポスドク申し込みがメールでやってくるそうで、
そのうち面接に来ているのは年間12人とか、それ以下のような気がします。
つまり40倍の倍率。
いいポジションをとるというのは、就職活動くらい大変なのです。

話がそれた。

そういうわけで、ポスドクの間での話題はよく就職活動の話になるのです。
「キミは職があっていいよな」、とみんな言いますが、
まあ、隣の芝生は青く見えるというやつではないかと思います。
立場が違うと、いろいろ違った問題があったりするのだよ。と思いつつ、
そんなことをクドクドといったりすると「何だこのオッサンは」と思われそうなので、
知らん顔をするようにしています。

こないだあるポスドクに試しにクドクドと言ってみた。
すると、こういうことを英語で説明するというのがとても難しいということに
話し始めてから気がついた。

・・・しまった。

ということで
(もちろんみんなではありませんが)
ポスドク君はわが身の不幸を嘆きながら、
日々仕方なく実験をしつつ、就職活動をするのです。

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