ある大学院生(2年生。日本で言うところの修士2年生)が質問しにやってきました。
置換アニリン化合物をアセチル化したいんだけど、普通はどういう条件でやるのか、と。
私の考えでは、基本は無水酢酸-ピリジン。
でもピリジンはあんまり好きじゃないので、とびやすいトリエチルアミンに変えて、溶媒はハロゲン系溶媒でいいのではないかなあ。さらに触媒量のDMAP入れたらより早くなると思われる。
かなあ。
でも、彼はSciFinderで似た化合物での反応を調べたらしく、
それによると無水酢酸だけを混ぜると書いてあったらしい。
で、彼はその条件でやろうと思うのだか、どうだろうかというのが相談らしい。
まあ、前例があるのなら塩基がなくても反応が行くのかもしれない。
詳細は分かりませんがNeatで溶媒量の無水酢酸で加熱とかすれば。
硫酸を触媒にするのもあり。
たしかにアニリンの置換基によってはアミノ基の塩基性も変わるのでうまくいかないこともあるとは思います。でも、それと同じ化合物の反応例が無ければその条件は採用しないなあ、というのが個人的な意見です。
で、決してボクの知識がすごいだろう、と言うつもりはありません。
これくらいのことは有機合成を仕事にしている人なら誰でも知っています。
そして、決して彼はできの悪い学生君ではありません。
いや、むしろ私なんかよりもずっと優秀な学生です。
MITの授業にも出てみたことがあるのですが、とても難しいことをやっていて、
テストの過去問を見せれもらったけど、もとても難しい。
でも彼はそういった試験にパスしてきたわけです。
一般的な有機化学だけでなく、物理化学、有機金属化学、電子論、無機化学などなど。。。
そもそもMITの大学院にはいっているというだけですごい。
でも、不思議とモノを作るという知識がすっかり抜けてしまっているのです。
こういう化合物はこんな感じで作れる、という感覚がまだ確立されていないのだと思います。
もちろんこれから卒業までの間に訓練を積むのだと思います。
あくまでもどっちが大事というわけではなく、
ただ、ちょっとびっくりしました。
ちなみに 私が一般的と思った条件ではそのアミノ基に1個だけ入れたかったアセチル基が2個入ってしまってダメだったそうです。無水酢酸のみでどうなったかは聞いていません。
ありゃりゃ。やっぱり先人の結果はちゃんと参考にすべきでした。ごめんなさい。
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